川の名前

  • 小説

川の名前

著者:川端 裕人

出版社:早川書房

発売日:2006/7/1

価格:864円

これはミズベ版「スタンド・バイ・ミー」だ!切なくて泣ける「ひと夏の冒険」

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辻田 昌弘

三井不動産株式会社 企画調査部上席主幹

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「桜川は別の川と合流して海に注いで、その海にはもっとたくさんの川が注いでいる。というか世界中のすべての川が海に注いでいるから、世界につながっているんだ。…(中略)…ぼくはもっと遠くへ行きたいんだ。今は桜川に住んでるけど、そこからもっと遠くへ。」

小学五年生の菊野脩は、クラスメートのゴム丸(亀丸拓哉)、河童(河邑浩童)と三人で、自分たちが住む地域を流れる川・桜川をテーマに、夏休みの自由研究に取り組むこととした。ところが、その桜川には謎の生き物が潜んでいたのであった…。 三人の少年たちと謎の生物との邂逅は、やがて他のクラスメートや周囲の大人たちを巻き込んだ騒動へと発展し、彼ら「カワガキ(川餓鬼)」たちは嵐の夜にカヌーで多摩川を下るという決死の冒険行に乗り出すことになる…。

本書は優れたジュブナイル小説(少年少女の成長物語)であり、優れた冒険小説であり、同時に優れた科学小説でもある。少年たちのひと夏の冒険という点では映画「スタンド・バイ・ミー」を彷彿とさせるし、UMA(未確認動物;ウマではない)との遭遇という点では映画「E.T.」に通じるものがある。その意味で十分に一級品のエンターテイメント作品に仕上がっているのだが、加えて治水や生態系保全、外来種問題といったトピックが随所にちりばめられており、ストーリーを楽しみながらもいろいろと考えさせられる点も多い。さらにはタイトル「川の名前」の由来となっている「流域思考」も、ミズベリストの皆さんならわが意を得たりと思わず膝を打ちたくなることだろう。

ということで、すべての「カワガキ」&「カワガキ・アット・ハート」にこの本をおすすめします(BGMは山下達郎「さよなら夏の日」でw)。

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辻田 昌弘

三井不動産株式会社 企画調査部上席主幹

ミズベリングプロジェクト・アドバイザリーボード・メンバー。1958年生まれ。経団連21世紀政策研究所研究主幹、三井不動産S&E総合研究所長、東京大学公共政策大学院特任教授を経て2018年より現職。

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